【中小企業ベンチャー式人材育成 第5回】
社長が「◯億円集めてくれ」と頼めるのは誰か

「資金として◯億円集めて欲しい」
コンビニ本部で働いていた頃のある日、社長から直接、こう言われました。
当時の私には、直属の上長がいました。
組織の順番どおりなら、この話はまず上長に行き、そこから私に降りてくるはずです。
それなのに、社長は上長を飛び越えて、私に直接頼みました。
なぜ、社長は私に頼んだのでしょうか。
こんにちは。つながるネット株式会社の森 修です。
今回から第2部「わが社の専門秘書は誰か」に入ります。
その最初に、この問いの答えをお話しします。
前回のおさらい
第1部では、次のことをお伝えしてきました。
中小企業は、すべてベンチャーである
社長は、自分のやり方を変えなくていい。変えるのは、社員の立ち位置
社員が「事なかれ主義」なのは当たり前。景色は、社長の隣に立つことで見えてくる
後継者がいないのではない。「官房長官」を育ててこなかっただけ
第2部では、いよいよ「では、誰を社長の隣に立たせるのか」という話に進みます。
社長が大きな仕事を頼むとき、思い浮かべる人
社長に、こんな質問をしてみたいと思います。
もし明日、会社の命運がかかった大きな仕事を一つ、誰かに頼むとしたら。真っ先に顔が浮かぶのは誰ですか?
役職が一番上の人でしょうか。
一番長く勤めている人でしょうか。
おそらく、そうではないはずです。
社長が本当に困ったときに頼むのは、肩書きや年数で決まる人ではありません。
では、どんな人なのか。
当時の私を例に、考えてみます。
当時の私の立ち位置
当時の私は、商品本部で商品を担当するマーチャンダイザーでした。
本業は、商品の品ぞろえや販売の戦略を考え、メーカーと一緒に売上を伸ばすことです。
ただ、私には少し変わった特徴がありました。
直属の上長がいながら、社長や副社長と直接話す機会がとても多かったのです。
仕事の提案を直接見てもらう機会があり、担当外の仕事を頼まれることも少なくありませんでした。
前回までにお話しした、「すぐやれ」「今すぐ実行しろ」が口癖の副社長に、必死に食らいついていた時期でもあります。
今振り返ると、私はこのとき、本業を持ちながら社長の隣にも立つ、兼任の「専門秘書」でした。

なぜ、社長は私に頼んだのか
社長が上長ではなく私に頼んだ理由を、今の私なりに整理すると、次の3つだったと思います。
① 社長の考えを知っていた
日頃から社長や副社長と直接話していたので、社長が何を大切にし、何に悩んでいるのかを知っていました。
だから社長は、一から説明する必要がありませんでした。
② 社外とのつながりを持っていた
本業のマーチャンダイザーとして、取引先や他社と日頃から関係を築いていました。
社長の課題を解決するための「材料」を、自分の仕事の中に持っていたのです。
③ 頼めば、結果を持ってくると信じてもらえていた
それまでに任された仕事で、一つひとつ結果を出してきました。
その積み重ねが、「この人に任せれば何とかしてくれる」という信頼になっていたのだと思います。
まとめると、こうなります。
社長が大きな仕事を頼むのは、「社長の頭の中を知っていて、頼めば必ず結果を持ってくると信じられる人」です。
役職でも、勤続年数でもありません。
指示を受けて、私がしたこと
ここで一つ、お伝えしておきたいことがあります。
大切なのは、「どうやって◯億円を集めたか」ではありません。
社長が私に頼んだこと。そして、私が指示どおりに結果を出したことです。
指示を受けた私は、まず自社の事業構造をあらためて見直しました。
・他社とのつながりの中に、何があるか
・自社の事業の強みは、どこにあるか
・自分は今、どんな立ち位置にいるのか
・同僚に相談すれば、どんな知恵や力を借りられるか
さまざまな角度から見て、社長の課題を解決する方法を探し、実行しました。
そして2ヶ月で、社長の指示どおりの結果を出すことができました。
今思えば、社長の期待に応えるために、必死でした。
専門秘書は、スーパーマンではない
この話で、社長にぜひ知っていただきたいことがあります。
専門秘書は、何でも一人でできるスーパーマンではありません。
私がしたのは、自分の本業で築いたつながりと、自社の強みと、同僚の力を組み合わせることでした。
特別な才能があったわけではありません。
違いがあったとすれば、ただ一つ。
社長の課題を、自分の課題として受け止めたことです。
社長の隣に立ち、社長の考えを知っていたからこそ、「これは社長の課題だから、自分には関係ない」とは思えなかったのです。
これが、専門秘書と、自分の職務を守る社員との違いです。
そしてこの違いは、性格ではなく、立ち位置から生まれます。

社長への問い
最後に、社長に問いかけをさせてください。
明日、大きな仕事を一つ頼むとしたら、真っ先に顔が浮かぶのは誰ですか?
そして、なぜその人の顔が浮かんだのでしょうか?
顔が浮かんだ方。その理由をぜひ書き出してみてください。それが、御社の専門秘書に求める条件です。
顔が浮かばなかった方。心配はいりません。専門秘書は、これから育てることができます。
次回予告
「専門秘書」と聞いて、どんな人を思い浮かべたでしょうか。
スケジュールを管理し、電話を取り次ぎ、来客にお茶を出す。
もしそんな姿を思い浮かべたなら、私の言う「秘書」とは、まったく違います。
私の言う秘書は、「なんでもありのスタッフ」です。
ただし、雑用を何でも引き受ける人のことではありません。
では、「なんでもあり」とは、いったい何をする人なのか。
第6回「ここで言う秘書は『なんでもありのスタッフ』だ ― お茶出しでも雑用係でもない」
来週月曜日の更新を、ぜひお楽しみに。
つながるネット株式会社 代表取締役 森 修
中小企業の売上アップ・事業改善・後継者育成のご相談を承っています。



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